木古内の隠れ居酒屋 杉の木(すぎのこ)
木古内町字本町565-3
2010年12月2日
”木古内駅前散歩の旅”の末、ようやく見つけた魅力的な居酒屋。杉の木と書いて「すぎのこ」と読みます。
ご主人が一人で切り盛りしている店で、鍋物を中心に旬の素材をおいしく提供してくれます。
気ままに一人旅で、体が芯から冷えてしまいました。鍋で体をあたため、待ちにまった、今夜も晩酌です。
店に入ったとたん、温かくて柔らかい、優しい明かりがもてなしてくれます。これぞまさに居酒屋、という奥ゆかしい雰囲気に包みこまれます。
冷えた体も一瞬間に忘れさせてくれました。
ご主人が一人で、忙しそうに下ごしらえをしています。
今夜は、どんな料理でもてなしてくれるのか、とても楽しみです。
畳の小上がり席も、十分な広さがあり、とても懐かしい雰囲気です。
居酒屋にはつきものの、ひとつひとつの関連性のない様々な置物や装飾が、さりげなく自然なかたちで並べられています。これらが懐かしい雰囲気を創り出す一翼を担っているのでしょうか。
座布団に座り、いざ注文へ。
まずは、生ビール!
寒さでこごえていても、最初はビール。
歩き回って疲れた体を癒してくれます。
泡のきめがとても細かく、ビールに溶け込んだ炭酸ガスが豊富なのか、ほろ苦さとコクが濃厚です。
体全体に、うれしい爽やかさが広がります。
本日は、「温まる料理」ということのみ注文。ご主人のおまかせコースです。
まずは、本日のお造り。タコ、イカ、エビ、サーモン、ヒラメにブリ。すべてが近海もの、鮮度も抜群です。
タコはほんのり塩味が効いて柔らかく、イカは独特のさばき方により、ぷりぷりとした食感もたまりません。ブリの脂に満足しつつ、さきほどまでの木古内駅周辺散策を回想します。
おもむろに、カセットコンロが設置されます。早くも鍋の予感です。
やってきました、ゴボウ鍋。醤油ベースのつゆに、野菜、豆腐、つみれがふんだんに入っています。その上に、これまた大量のゴボウがのっています。
つゆは、ほのかに甘みが効いた醤油味。つみれの生姜風味とゴボウの香りが混ざり合い、ビールを誘う秀逸の味わいとなっています。一口すするごとに、体も温まります。
生命の危機を感ずるほどであった先ほどの冷えも、いまや完全に回復しました。
栗きんとんのあまい汁から作られる甘い茶碗蒸しも、食べ慣れていて美味しくいただくことができますが、風味豊かで具材や卵の味わいを堪能できる、だし汁から作られる茶碗蒸しは、これまたお酒がすすみます。蒸したてであたたかく、蒸し加減も軟すぎず、硬すぎず、理想的な状態。
今夜もしあわせです。
道南では当たりまえの、豚の焼き鳥です。塩・タレの両方でいただきました。
肉が柔らかく、表現がありきたりになってしまいますが、とてもジューシー。炭火焼特有のいい香り。塩加減も絶妙で、飽きることなく食べ続けたくなる仕上がりになっています。
えび、オクラ、シイタケ、ナスの天ぷら盛り合わせ。
非常に軽やかに揚げられた天ぷらの数々。素材そのものの味も美味しいため、これまでのボリューム満点の料理に、すでに腹8分は超えていましたが、さらに食欲をそそられ、食べつくしました。もちろんビールも一層はげしく追い打ちをかけてきます。
幸せ度急上昇。
さっきトイレへ行くときに見ました。ご主人がピザの下ごしらえをしていたところを。まさか、ここに届けられるものであったとは。
〆は、ご主人手製の特大ピザです。和風居酒屋で、本格的ピザをいただきました。
これまた、生地がパリパリ、チーズは香り良く、目を閉じていただくと、おしゃれなイタリア料理店にでもいるかのような錯覚をおこしてしまうくらい。
多すぎるので、焼き立てをまずいただき、残りは包んで持ち帰らせていただきました。
寒くて不安な旅路の末、こんなに魅力的な居酒屋に巡り合うことができました。