函館市電完全制覇の旅
2011年1月2日
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
今日は、朝から晴天です。正月だからゆっくり家でごろごろしてるのもよいけど、こんな天気の良い日は、じっとなんかしていられません。さて、どこに行こうか…
昨年、市電を使い函館どくつ周辺散歩するため、終点”函館どつく”に降り立ちました。一昨日は、初詣に行くためもうひとつの終点”谷地頭”で電車を降りました。市電には、もうひとつ終点があります。ここに降り立てば函館市電を完全制覇することができるわけです。函館市電完全制覇の旅に出かけてきます。
お昼を少し過ぎた頃です。函館市電完全制覇の旅が始まります。
函館の市電は、西側に向かうと途中”十字街電停”で路線は二手に分岐し、北は”函館どつく”、南は”谷地頭”が終点となっています。逆に東側に向かうと分岐はなく、”湯の川”が終点となります。
いつも旅のはじまりは、五稜郭公園前電停です。つまり今回ここから乗車し東の終点”湯の川”に降り立てば、函館市電全線制覇することになるわけです。
車内は、それほど混雑はしていません。東へ向かうと函館競馬場や湯の川温泉街があります。しかし正午過ぎのこの時間は、ホテル・旅館のチェックインには、少し早いし、競馬場もこの週末だけは休みです。初売りの買い物を済ませた地元の方々だけが乗っているのでしょうか。
空いている席に座り、ゆっくりくつろぎながら外の景色を楽しんでゆきます。
冬の太陽は低いためか、日差しはあるけども暑すぎることのない、ぽかぽかの車内です。
先日の初詣の時にも、ふだん聞かないメロディが車内に繰り返されていました。そして本日もすでに何度か同じメロディが流れています。なんとなく車内の張り紙を見てみると、年末年始限定車内メロディの説明がなされています。バーコードも記載されており、ためしにダウンロードしてみると、今車内で聞いていたのと全く同じメロディを再生することができました。
お手元の携帯電話からダウンロードして、どうぞ車内の雰囲気を味わってみてください。
乗車してから10分もたたないうちに、進行方向右手に函館競馬場が見えてきます。JRAの競馬場で、唯一海が見渡せる競馬場として有名です。昨年新築工事が終わり、曲線の美しい競馬場としても話題を集めました。春~夏には、地元函館開催があります。これまでも有名なサラブレッドを多数輩出しています。今年は、どんな名馬が誕生するのか、今からとても楽しみです。
函館市電駒場車庫です。全ての函館市電は、仕事を終えるとここに集結します。いわば函館市電の中枢部です。
数年前に導入された新型車両らっくる号や、レトロな雰囲気で郷愁をさそうハイカラ号など、さまざまな色や形の電車が常に出入りしています。電車好きにはたまらない光景がそこには広がっています。
駒場車庫を過ぎて数分後、最後の終点”湯の川電停”が見えてきました。間もなく函館市電完全制覇達成の瞬間です。そう思うとただ電車を降りるのと違い、少しドキドキします。
ついにやりました。函館市電完全制覇達成の瞬間です。なんとなく思いついただけの企画だし、誰でも簡単にできる旅だけど、少し感激しました。記念撮影です。
完全制覇は達成されましたが、旅はまだまだ続きます。
さてこれからどこに行こう…
湯の川は、温泉で有名です。市内からここを通過してトラピスチヌ修道院や函館空港に行くことができます。しかし湯の川電停近くには、何があるのか分かりません。当然ながらいつもの通り、事前に調べることもしていません。
電停から辺りを見渡すと、小さな丘の上に赤い鳥居が見えます。今年の初詣は、すでに済ませましたが、完全制覇の報告もせねばならず、神社に向かってみることにします。
湯倉神社です。ここにもたくさんの参拝客の姿がみられます。行列まではできていませんが、元日の深夜には、更に多くの参拝客で混雑していたと思われます。
厄年一覧表がありました。ふだんあまり考えてもいなかったので、今あらためて最初の厄年が過ぎてしまっていることを知りました。次の厄年は42歳。覚えておこう。
さっそく函館市電完全制覇のご報告をしました。合わせて、今こうして健康でいられることに感謝申し上げます。
参拝を終え石段へと戻ってきました。次はどこに行こう。左へゆくと空港、トラピスチヌ方面。右へ行くと函館市街、正面は海まで歩くと温泉街にぶつかります。
トラピスチヌは歩くと遠いし、函館市街地方向は、戻ってしまうことになります。正面にこれまで通ったことのない小道がみえます。すすむべき道が決定!
目の前の道路は、空港と市街地を結ぶ交通量の多い道です。横断歩道ではなく歩道橋が設置されています。運動不足で足腰にひびきますが、交通ルールを守ってきちんと渡ります。
歩道橋の上から函館市街地方向を見ています。正面やや左よりに黒い大きな建物が見えます。昨年オープンした、望楼NOGUCHI函館という大変豪華なホテルです。料金もかなり高いのに連日予約でいっぱいなのだそうです。いつか”望楼NOGUCHI函館の優雅な旅”などしてみたいものです。無理だな。
中央の赤い看板とその左、函館信用金庫の看板の間に函館山が見えます(写真が小さくて見えないけど)。
歩道橋を渡り終えると、目の前に非常に魅惑的な赤ちょうちん。看板には”とり源”と書かれています。よく見るとサッポロクラシック取扱店との説明書きが。サッポロクラシックの生ビール飲みたいな~。
残念ながら店はまだ開店していません。いや、旅は今始まったばかりであり、ここで飲み始めるわけにはゆきません。う~ん、でも残念だなぁ。
とり源の先をすぐに左折し問題の小道へと入ります。
小道を進むとすぐに道は緩やかな右カーブとなります。そのカーブの外側に古めかしい木造建物がさみしげに建っています。二階建てで、当時は相当お金持ちの人が住んでいたのではないかと思われます。よく見ると窓も縦長で格子もおしゃれに造られています。のぞきこんでみましたが、今は空き家となっているようです。もったいないなぁ。
道なりに歩みを進めると間もなく右手に銭湯が見えてきます。入口が一つで入るとすぐに男女に分かれる、銭湯の定番スタイルです。大盛湯と書いてあります。「おおもりゆ」ではなく、おそらく「たいせいゆ」と読むのでしょう。おおもりゆなら面白いのに。
さらに進むと、右手に山下理容院がありました。お正月休みのようです。ここもなんだかとても懐かしい雰囲気で、どこか気分の良い片田舎を歩いているような気持ちにさせてくれます。
緩やかなカーブを抜けると交差点となっています。左は温泉街、右はもとの電車通りとなっています。直進すると現代の民家が立ち並びます。
今日は、温泉準備をしておらず温泉街は、やめにして、かといって現代民家の林立を見ても新しい発見は少なそう。ここは電車通りへ戻り沿線の商店街を眺めてみることにします。車で通ることはあっても歩いたことのないエリアです。ゆっくり歩けばきっと出会いもあるでしょう。
右に曲がりました。突き当りが電車通りとなります。古い商店が立ち並んでいます。
それでは新しい出会いを求めて再びゆっくりと歩みを進めてみます。
すぐ左手に、昔の造りをした商店があります。看板には船水商店と書かれていますが、今はそれも下へ降ろされています。営業しているのかな?入口から中をのぞくと、いくつかの箱が積み重ねられています。今日は、眺めるだけにしておきます。
この錆び方が時代の流れを感じますね。正月なので店は閉まっています。よくみるとかわいらしい正月飾りがしてあります。人の営みを感じることができました。
まもなく電車通りへ出ました。正面に後藤精肉店があります。窓ガラスには、”手作りコロッケ”、”メンチカツ”の文字が並びます。コロッケは、子供の頃からの大好物です。メンチカツは子供の頃には知らなかった食べ物です。いつしかその味を知り、現在はコロッケ同様に大好物です。
メンチカツをひとつ購入して、歩きながら食べてみたかったところですが、正月のため店はやっていませんでした。
ここを右折すると元の湯の川電停。迷うことなく左折します。
電車通りに沿って、さまざまなお店や民家が並びます。女子中学生風の二人が前を歩いています。どこに行くのでしょうか。
再び歩き始めて数分。左手に山内温泉を見つけました。看板には、天然温泉と書かれています。天気が良いとはいえ、気温はぎりぎり0度を上回る程度。いつ何時温泉に遭遇してもよいように、常に配備している温泉道具一式を今日は、持ってこなかったことが大変悔やまれます。
函館では、広く知られるおいしいだんご屋です。正月なのでつきたての餅でも売ってるかな、と期待したのですが正月休業でした。残念。
なんだか無性に餅が食べたくなりました。今夜の”今夜も晩酌”は、焼き餅にしよう!
さらに歩くこと数分。大きな五叉路に出ました。そこに足湯を発見。冷えた体をさっそく温めました。
しばらくつかっていると、女性客数名がやって来ました。話しているのを聞くと中国の方のようです。函館は国際的な観光地でもあることを実感します。
まもなく、一人が「ナントカカントカ」と話かけてきました。笑ってカメラを構えています。どうやら写真を撮ってくれるようです。きっとヘンな日本人と思って撮ってくれたのでしょうね。それでも笑って「謝謝」と言ってくれたので、こちらも「シェーシェー」と伝えました。思いがけない出会いは嬉しいですね。
足湯でゆっくりし体もぽかぽかです。額には汗すら感じます。
足湯向かいの道路を渡ると、二階建て木造建造物があります。三角屋根や窓格子の曲線が美しい、とても斬新なスタイルの建物です。何の建物なのかはわかりませんが、このデザインに深く感動しました。
さて次はどこに行こう。
あっ!向かい側に赤ちょうちんを発見!
そろそろ旅もこのへんで終わりにして、赤ちょうちんで一杯ひっかけようかな。
なんて思って道路を渡ると、正月だからなのか、それとも昼間だからなのか営業していませんでした。
そのまま電車通りに沿って歩き始めます。右手に骨とう品のお店を見つけました。高いのだか安いのだか分からない怪しげな品々が陳列されています。先客がいて、なにやら店のご主人と得体のしれない物体を手に持ち話をしています。
無造作に外にならべられている置物と一緒に記念撮影。はい、ポーズ。
そろそろお腹が減ってきました。遅めの朝ごはんを食べ、昼過ぎに家を出て以来何も食べていません。時刻は、1時半。
歩けば歩いただけ興味深い商店や建物に出くわします。まだまだご紹介したいところもあるのですが、腹減りにはかないません。この後最初に出くわす食事処で昼食をとることにします。どんな食事に巡り会えるかな?
家庭料理の店つくしです。
毎晩のように晩酌料理が続くと、ときどき家庭料理が恋しくなります。巡り会えました、つくし。
ところが残念。閉まっています。またの機会を楽しみにしましょう。
がっかりしたのもつかの間、すぐにジンギスカン店テムジンを発見。ジンギスカンは、代表的な北海道名物。子供の頃から運動会や山開き、海水浴、キャンプ…といったらいつも常にジンギスカンでした。それぞれの家庭でそれぞれの味付けをしたジンギスカンを作っていました。久しぶりにジンギスカンもいいなぁ。
しかし残念。こちらも閉まっています。またの機会を楽しみにしましょう。
なんだか昼の外食といえばソバばかり食べている気がします。でも自分で決めたルールに従い、初めにめぐり会ったこちらの店に入ることにします。
七味でなくて八味というのがいいですね。ところでこの”8”というのは、何なのでしょう。メニューが8種類なのか、ツユに8種類の食材が使われているのでしょうか。末広がりの縁起の良さを考えつけた名前でしょうか。まさかご主人が八味さんというわけではないでしょう。
さっそく店の中へ入ってみます。
外から見たより中は広く、テーブル席、カウンター席、小上がり席が並びます。
従業員は、おばちゃん一人のみ。とてもアットホームな雰囲気のあるそば屋です。
さっそく注文。「ビールと”もり”ひとつお願いします」
「はぁ~い」
すぐさま瓶ビールが出てきました。生ビールは美味しいけど瓶ビールの趣もたまりません。
コップにビールをそそぎ、キュッと一杯。さきほど温泉で温まった体に、冷たいビールが心地よく浸みわたります。昼間なのと温泉に入った直後で血行が良いためなのか、たちまちほんわかと気持ちの良い酔いが全身をかけめぐります。
ソバはつなぎの分量の加減か、ややモチモチ感が強い麺です。しかし茹で加減が好ましく、歯茎が歓喜するほどよいコシが備わっています。コシのある弾力といった感じでしょうか。つゆはカツオの風味が効いていて、食欲がそそられます。
腹も満たされ、ビールで体も軽くなり、旅は終盤に突入します。
そば屋を出てすぐに市民会館がありました。有名人のコンサートから、市内の学生の発表会などさまざまなイベントの会場となります。
そういえば今、唐突に思い出したのですが、さきほどの八味庵の名前の由来を聞くのを忘れてきました。この次行くことがあれば、忘れずに聞いてみようと思います。
今回の旅の報告もかなり長くなってきちゃいました。めりはりのない退屈な旅の報告書となってしまう前に、そろそろ旅の終わりの演出をかんがえなくちゃならない頃です。どこで終わりにしようか。考えていたその時、市民会館前の掲示板に伊藤みどりスケート教室のポスターを発見しました。
よし、この次の旅は、”伊藤みどりさんに会いにゆく旅”にしようと思い写真をぱちり。ところがよく見ると、対象は幼児~小学生。だめでした。
いまだ決まらぬ旅の終点を目指し歩き続けます。
5~6分ほど歩き、左手に函館市電駒場車庫が見えてきました。よーく思い返すと今回の旅は、函館市電完全制覇の旅でした。市電完全制覇の旅にこれほどふさわしいゴール地点は、他にはありません。まったくよくできた話です。でも考えて作った話ではなく、本当に偶然できた話なのですよ。
今回の旅は、ここで終了です。
市電完全制覇の目的も果たすことができ、近所なのに知らなかった風景に出会い、人とのめぐり会いがあり、思いがけず出来すぎたストーリ展開を見せ、今年は何かいいことがありそうな予感を感じました。
ところが話は、これだけでは終わりませんでした。全く持ってビックリする結末となりました。これも新年早々に函館八幡宮と湯倉神社の神様にお祈りしたご利益かな。
旅を終え、再び電車で五稜郭公園前電停を目指します。
待つこと数分。なんと驚いたことに、帰りの電車も来るときに乗ってきたハセガワストアやきとり弁当号でした。本当びっくりしました。もちろん函館には、やきとり弁当号は、これ一両しかありません。とても感慨深い旅の終わりとなりました。この旅も一生忘れられない大切な思い出となりました。
おしまい。
あっ、そうだ。帰りに餅を買ってかえらなきゃ。