函館八幡宮へ初詣の旅
函館市谷地頭町2-5
2010年12月31日-2011年1月1日
一年が終わり、またあらたな一年が始まります。今年の大晦日も例年の通り美味しいお酒を飲みながら、紅白歌合戦を見て過ごしました。さぶちゃんが歌い終わり便所へ。静かになった瞬間、小さく電車の音が聞こえてきました。
「そういえば函館には、無料初詣電車というのがあったのだな…」
紅白歌合戦は、ドリカムが登場してきました。見ていたかったけど思い立ったら即、一人旅の始まりです。函館市電のホームページを調べ、五稜郭公園前電停23:42発と確認。「まだ間に合う!」。
氷川きよしの歌を聴きつつ、正月のコスチュームを身にまとい家を出ました。
家を出るときには、まだ紅白歌合戦は終わっていませんでした。紅組が勝ったのか昨年に引き続き白組が勝ったのか、結果も気になりましたが、これを待っていると電車には、間に合いません。
後ろ髪をひかれつつ、正月用のコスチュームを身にまとい、いざ函館八幡宮へ初詣の旅出発です。
いつもの旅の出発点、函館市電五稜郭公園前電停を目指します。
雪は降っておらず風もありません。穏やかな夜です。しかし気温は氷点下。歩道はつるつるです。
奥に五稜郭繁華街の明かりが見えます。いつもに比べて人も車も大変少なく感じます。きっとみんなまだ家でテレビを見ているのでしょう。
つるつる路面に気を付けながらも、足早に電停を目指します。
23:50五稜郭公園前電停に到着。なんとか間に合いました。
街に人影は少ないのですが、初詣電車、しかも無料なのでホームにはたくさんの人が列をなしていると思っていたら、数人の若者たちが寒そうに立っているだけでした。
ほぼ定刻通りに電車が到着しました。
いよいよ旅のはじまりです。初めて乗る初詣電車です。いつものごとくわくわく感が高まります。さきほどまでの酔いも少し醒めてきたようです。
今回の旅は、どんな思い出をつくってくれるのでしょう。
予想に反して乗客はまばらです。函館八幡宮は、例年数千人の参拝者が初詣に訪れるときいていました。初詣電車の本数も数本しかありません。みんなどうやって初詣にでかけているのかな?
座席もほとんど空いているので、のんびりと座ったまま谷地頭電停へ向かうことができます。
夜の函館の街を眺めます。繁華街をすぎ中央病院前を通過したあたりで、街のあかりが少なくなってきます。電車通り沿いには、商店が多く、深夜になると明かりが少なくなるのは分かりますが、それ以上に時代の流れとともに閉店してしまった店が多いのも、あかりの少ない理由なのかもしれません。
JR函館駅前電停に近づいてきました。車内では、時計や携帯電話を確認する人たちが増えてきました。間もなく年が明けるようです。若者グループがカウントダウンを始めました。「3・2・1、明けましておめでとうございます」。車内にやや控えめな歓声が巻き起こりました。誰からともなく、向かい側や隣に座っている人へ新年のあいさつを交わし始めます。なんだかとても暖かい風景です。ちょっとジンときて涙が出てしまいました。日本には、まだまだ大事なものが残っているんだなぁ。
それにしても、1日3161歩とは、歩かなさすぎです、お恥ずかしい…
各駅停車で電車は走り、終点谷地頭に着く頃には、電車は満員となっていました。
いよいよ初詣らしい雰囲気となってきて、がぜん旅への期待が膨らんできます。
まもなく到着です。
終点谷地頭電停で電車を降ります。
目の前の交差点を右に曲がり、そのまままっすぐ行くと函館八幡宮となります。
と、あたかも前から知っていたかのように書きましたが実は、谷地頭電停で降りるところまでは知っていましたが、電停から神社までのルートは、さっぱり知りませんでした。でも心配はいりません。乗客の大半は皆、初詣に向かう人たちです。みんなの後に付いて行けばよいのです。
旅はいつもこんな具合です。それだから楽しいのです。
徐々に道は上り坂となってきます。電停から歩くことおよそ5分。函館八幡宮の鳥居が見えてきました。
いつのまにやら、電車に乗っていた人の何倍もの人たちの歩く姿が見え始めます。
八幡宮に到着しました。ここからは、急な階段をのぼります。階段の上の方には、鳥居付近でみかけたよりもずっと沢山の人が列をなしています。帰りの電車は、1:05。間に合うかなぁ。
なにはともあれ、初詣をしよう。
それにしてもすごい数の人。大都市の神社は、さらにもっと大勢の人が集まっているのをテレビなどで見ますが、赤平の神社しか知らない自分にとっては、目の前の人の数は、十分驚きに値します。
行列は、なかなか進みません。三歩あるいて二歩下がるということはありませんが、一歩進むのにもかなりの待ち時間があります。この時点で帰りの無料電車は、あきらめました。タクシーか~
体も徐々に冷えてきたなぁ…
実は、こんなこともあろうかと思い、ポケットにしのばせてきました。冷える夜には、コレがたまりませんねぇ。
ところで、神社の境内でお酒なんて飲んでもいいのかな?バチが当たるんでないかな?ちょっと心配。
行列は、カメのような速さでであっても着実に進んでゆきます。後ろを振り返ると、さらに行列は長くのびています。
30分ほど経ったでしょうか。ようやく神社の社が見えてきました。きれいにライトアップされていて、厳かな中に幻想的な雰囲気が漂います。
あと少しの辛抱。
ようやく順番がまわってきました。待ちに待った瞬間の到来です。
さて、何をお願いしよう。それよりまずは、日ごろの感謝を申し上げねば。
とうとう自分の番です。一瞬どのようにお参りすればよいのか躊躇しましたが、見上げるとそこには、「二礼・二拍手・一礼」の説明看板が。賽銭箱へ5円玉を投げ入れ、説明書きの通りに礼をして終了。
日ごろの感謝とこれからの健康をお祈りしてきました。
お参りが済んだら、すぐに左手の方へ誘導されます。ここには、縁起物売り場やおみくじ売り場などの建物が並んでいます。
商売をされている人でしょうか、あるいは苦労の多い一年を過ごした方なのでしょうか、それとも毎年恒例行事となっているのでしょうか。結構高い値段がついているにもかかわらず、多くの人が購入しています。縁起物に値段を言ってはいけないのですね。
後ろを振り返ると祈祷受付所があります。中には、きれいな巫女さんの姿が見えます。記念にぱちり。
祈祷受付所の左隣には、おみくじが売られています。新しい一年の運試し。100円のを買ってみます。
さて結果は… 内緒です。
さて今年もがんばるぞっ!
よく悪いおみくじは、結んでおき、良いおみくじは、財布などに入れて持ち歩くと良いなどと言われます。しかし神社の方に聞いてみると、悪いおみくじでも持っていることで自分への戒めの気持ちを持つことができるし、逆に良いおみくじは、良い結果に導かれることを祈って結ぶのもよいとのことでした。
結果は秘密ですが、今回ひいたおみくじは、結んできました。
縁起物売り場を通り過ぎると、たくさんの露店が出ていました。
長いこと外で待たされ、みな体が冷え切っています。暖かいものを売っている店に人気があるようでした。
いつの時代も変わらない懐かしい風景です。
電車は、とっくに諦めていたので今の時刻も気にもとめていませんでした。1時過ぎくらいかな。
先ほどよりも参拝者の数は増え、行列は鳥居付近までのびています。みんないろいろな思いを持って待つことに耐えているのでしょう。
いろいろな文化や生活習慣が変化してゆく中で、この初詣というイベントだけは、昔と全く変わりません。すごいことだなぁ。
とりあえず元来た道を引き返し、谷地頭電停の辺りまで行ってみることにします。電車通りであれば簡単にタクシーが拾えるはずです。
電停まで近づき、なにげに時計を見てみると1:03。
「あっ、まだ最終電車に間に合うぞっ!」
つるつる路面もなんのその、全力疾走で電停へ向かいます。
「よかった~、間に合った」
余裕もないのに一枚ぱちり。
帰り道は、座ることはできませんでしたが、高々20分前後の乗車時間。立ったままで電車特有の揺れを楽しみます。車内は、とても暖かく急に眠気が襲ってきました。
静かな夜の函館の街を電車は、軽快に走り続けます。
五稜郭公園前電停に戻ってきました。乗ってきた初詣電車を見送ります。
電車の灯は、遠くへ消えてゆきました。ここからは、歩いて帰宅です。
わずか2時間弱の旅でしたが今回も大変充実した旅となりました。
紅白の結果をオンタイムで知ることができませんでしたが、深夜の街を電車で巡り、函館で人出が多いことで知られる函館八幡宮の初詣を体験し、人々が大切に持ち続けている何かを感じることができた収穫の多い旅でした。
それにしても紅白は、どっちが勝ったのかな?
それよりも、今回のおみくじの結果が気になりますか?
秘密です。