じゅげむ堂
函館市昭和2丁目37-15
2010年12月10日
本日は、ボーナス日。だから、ぶらり食べ歩きというわけではありません。今夜は、職場でお世話になっている会計事務所の方々と忘年会。
今年10月にオープンしたばかりの、じゅげむ堂にやって来ました。某有名寿司店等々さまざまな料理店で手腕を振るった経歴のある料理人の創作料理をいただけるとの前評判を聞き、はじめて訪れました。
店内に入って、まず目を引くのは、カウンターの目の前にある大きな生鮮野菜・魚介のディスプレイ。手前には型のいい、高級魚メバルが気持ちよく並んでいます。野菜も魚もぴっかぴか。
これらの素材から、どのような料理が飛び出してくるのか、とても楽しみです。
全体的な印象は、昭和の居酒屋なのですが、照明や装飾がいたるところモダンな雰囲気をかもしだし、さきほどのカウンター前のディスプレイの独特な表現や、個室が小上がりではなく、テーブル席となっていたり、店内に本物の囲炉裏が設置されるなど、店主の独創性が光っています。
女性グループにも人気となりそうな魅力的な店内です。
塩味の美味しいイカ塩辛と、タラの昆布〆。
塩加減もさることながら、塩自体が微妙な甘みすら感じるような美味しい塩を用いたイカの塩辛。
こちらのお店、日本酒、焼酎の品ぞろえも非常に豊富。お願いすると、料理に合わせてお酒も見立ててくれます。
美味しい塩辛ゆえ、本日はいきなり日本酒モード突入。
タラ昆布〆は、ほんのり昆布の風味が感じられ、タラの食感が大切に守られています。日本酒モードいきなり急加速となります。
ダシの風味がほのかに香る、とても上品な一品。スプーンで口元まで運ぶと、ダシの香りに混ざって、穴子の美味しい匂いが絡み合ってきます。味付けのメインはこの香りと素材の味わい。
甘い茶碗蒸しも美味しくいただけますが、お酒の時には、このダシの香りが豊かな茶碗蒸しがとてもうれしく感じます。
ヒラメ、アワビ、サンマにマグロ。
どれもこれも、鮮度の良さは間違いなし。ヒラメは独特のしこしこ食感がたまりません。ほんのり甘みが効いてます。アワビはコリコリで、ふんわかとした磯の香りが漂います。サンマは鮮度の良いものでしか感じることのできない、決してくどくはない、あっさりとした脂の旨味を持っています。マグロは今や高級ブランドの戸井産。近海産だけに鮮度が良く、脂の美味しさ以上に、マグロの身の旨さが伝わってきます。
大きな朴葉の上で焼かれた和牛です。今回は、函館市の隣、北斗市にある、おぐに牧場で生産されている和牛が使用されています。
地産地消の考え方が普及し、地元の食材にさまざまな工夫をこらして広める活動が活発化しています。それだから素晴らしいというだけでなく、おぐに和牛、味覚も大変に素晴らしいものでした。
赤身に白い脂が散りばめられていますが、その割合が理想的で、肉本来の味が、脂の旨味に打ち負かされてはいないのです。もちろん柔らか旨甘感も十分です。
味わい深いものが続いた後に、味覚を少し休ませてくれる酢の物が登場。
あっさりとした酢加減に、噴火湾産のホタテ・ホッキがまろやかに包み込まれます。
ぷりっぷりのホタテの食感と、十分にしまったホッキの歯ごたえもたまりません。
お猪口を片手に、しばし宙を仰いで心をなごませます。
カウンターの前に並べられていたメバルです。ご主人自らが釣り上げ提供してくれているのだそうです。つまりは、ご主人の釣果によってはメニューも変わってくるわけです。でも、それもとても楽しみな趣向です。
かなり大きなメバルです。腹も大きくはりだし、当然おいしい脂がしっかりとのっています。煮つけにすることで、身の旨味も凝縮され、釣りたてならではの身の締りも合わさり、とっても贅沢に仕上がっています。目の周りの脂や頬肉も魅惑の珍味と化しており、硬い骨以外すべて食べつくしてしまいました。
米ナスとはどういうものか知りませんでしたが、聞いてみると丸ナスの仲間で特大のものだそうです。
確かに、グラタン皿の代わりとなるくらい大きなナスでした。この器に、甘くてとてもいい香りのするナスがふんだんに盛り込まれ、全体にカキのまろやかなエキスが広がり、さらに、かりかりに焦げ目のついたチーズと甘さ控えめのクリームとが混ざり合い、コンビネーションの勝利といったグラタンが完成してます。
タラ、マグロ、メバル、イクラ、○○、ボタン海老。美味しい日本酒と料理に、とても幸せな酔いが回っています。それで、またメモし忘れました。貝の名前が分かりません。
とはいえ、さすが有名寿司店の元職人さん。お寿司が美味しいっ!ネタは当然のこと、シャリの旨さと硬さ具合、決してまねのできない芸当です。くやしいけど、イクラも”自家製イクラ”より美味!粒の旨味に優しい柔らかい風味が溶け込んでいました。
居酒屋なのに真に本当の絶品お寿司をいただくことができました。
非常にかすかな風味が湯気とともに立ち上り、鼻腔へと吸い込まれ、夢心地に誘われます。
汁を一口すすると、ともすると気が付かぬままのど元を通過していってしまうくらいの、かすかな塩加減。
お酒でやや疲れた体を、内から優しく支えてくれます。
美味しい酒と肴をいただきつつ、とても穏やかに時間が過ぎてゆきました。
また明日からの仕事への活力を得ることができました。
ごちそうさまでした。