夢のトイレ74 いつ漏れても、もういい。そんな諦めの心境になりつつも、ボクは便意に配慮しながらゆっくりと砂浜に立ち上がりました。そして堤防の縁に近づき堤防を背にして寄りかかりました。変わることのない鏡面のような海面・・・ いや、違う。ずっと沖の方に何かがある。鏡のような水面のずっと遠くの方、砂浜から水平線までのちょうど中間くらいのところに白っぽいものが太陽の光を反射するように光っていました。目を凝らすと何かが動いているようにも見えます。「まさか・・・」 信じたくはないが、ボクは沖に見える“何か”が、あの二人に違いないと確信した。どのようにして短時間のうちにあそこまで行くことができたのか、そんなことを考える気力などもうない。そして今、ボクの便意は、どうすることもできなくなっていた。二人が双眼鏡を手にこちらを見て笑っている様子が、まるでボクも双眼鏡を使って二人を見ているかのように分かるのが不思議だった。これも彼らの計画のうちだったということだ。ボクは背中を堤防にこすりつけながらその場に泣き崩れた。もう降参だ。ボクは便意に身をまかせることにした・・・ (次回、最終話)
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