夢のトイレ57 そうだ、そもそも海の中の排便計画は、あの二人から逃れるために無理くり絞り出した狗肉の策だ。しかし、おもいきって魚になってしまえば便意に苦しむことなく排便ができちゃうわけだ。狗肉の策どころか万全の策ではないか。さっそくボクは魚になったボクを想像してみた。試しに右の脇腹を右ヒレで強く叩いてみる。痛くない。本当だ、魚に痛みはないのだ。そうそう、便意はどうだろう。あ、感じない。ほうらやっぱりだ、魚は痛みがなくても便意がなくても、こうしてちゃんと生きていられる。人と魚では、こうも違うんだな。さっきまでの下腹部の鈍痛が嘘のように今は感じない。情けなくなるほど切ない便意も全く感じなくなった。海の中でボクは自由になったのだ。ようやく自由になれたのだ。嬉しい。この先は全てボクの考えで動くことができる。あの二人の計画に従わなくてもいいのだ。うふふふふふ、これからどうしよう。 そうだ、ボクには旅があった。早春の温泉旅に行かねばならないのだ。便意を気にすることなく、ゆっくり温泉に浸かろう。 (つづく)
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