夢のトイレ55

夢のトイレ55  海の匂いがする。波の音がはじける。風が空気を切り裂いてゆく。太陽の熱は、遠い宇宙を越えてボクの皮膚にまで届く。吹けば飛ぶような細かな砂の表面にも微生物は暮らしているのだろうな。微生物にも便意はあるのだろうか・・・  便意に翻弄され続けたボクの脳は、一時の誤作動を経て今、昇天しつつあるようだ。感覚は研ぎ澄まされ、画期的な発想が次から次へと放出される。このペースでゆくと5年もすればノーベル賞の予感がする。その場合、ノーベル何賞になるのだろう? 化学賞ではない。もちろん平和賞でもないだろう。太陽エネルギーなら物理学賞、微生物というところでは生理学賞あたりに該当するのだろうか。あるいは文学賞?・・・  いや、今ボクはノーベル賞では足りないほどに脳の代謝が高回転になっている自分を感じ始めていた。  (つづく)