夢のトイレ49 漏れる。ボクは、そう覚悟したが、ボクの肛門はまだあきらめていなかった。 「もういい、とにかくこの辛さから早く逃れたい」 あきらめるようにその場にうずくまったボクであったが、肛門はヒクヒクいいながらも、その緊張を決して緩めはしなかった。自分の肛門ながら、そのけなげな態度にボクは少し感動した。恥骨の奥から仙骨に向かって悪意に満ちた鈍痛が駆け巡る。もう立ち上がることもできない。便意って、どうしてこうも人を苦しめるのだろう。うずくまりながらかろうじて横目で見上げた上空には、青空が広がっていた。そしてアスファルトの地面にはボクの影が映る。その影の先にはボクの車が停まっている。その時ボクは閃いた。そうかそうか、その手があったか。でも立ち上がることさえ厳しい状況でそんなことができるのか。いや、考えている余裕などもうない。 (つづく)
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