夢のトイレ40 雑誌コーナーの前を過ぎ、ボクはトイレの前で立ち止まった。すぐにでもトイレの中に飛び込みたいほど便意は切迫していたが、やはり中の様子が気になる。トイレの入り口のドアの小窓から中をうかがう・・・ 誰もいない。個室のドアのノブのあたりを注意深く観察するが「使用中」の表示はない。あの二人はどこにいるのだろう。ボクは静かにドアを開けトイレの中に進んだ。念のため個室のドアをノックしてみたが返事はない。そっとドアを開けてみた。中の様子、いやいや、外の様子を見てボクは自分の目を疑った。一度ドアを閉めた。確かにこれはトイレの個室のドアだ。でも、この扉の中にボクが見たのは外の駐車場だった。便器があるとかないとか、そういう問題ではなく、トイレのドアを開けるとそのまま外に通じているのだ。もう一度ドアを開けてみる。そして足を踏み出してみると確かに外だ。SFとか異次元とか、そういうのでなくて、トイレのドアが外へ通じるドアなのだ。今回のイタズラは、これか・・・ しかし、ボクには笑う余裕などなかった。便意は間もなく10段階の10になろうとしていた。 (つづく)
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