夢のトイレ39

夢のトイレ39  ははは、やっぱりだ。駐車場には例の白い車が停まっていた。でも、どうやってボクの先回りをしているのだろう。そのトリックだけでも知りたいな。ちらりと車の中を覗き込んだが、そこに二人の姿はなかった。ボクは自分の便意の行動すら自分で決められないことへの苛立ちを感じながらローソンの扉を開けた。「いらっしゃいませ」 店員さんが健やかに声をかけてくれる。でもボクは薄々感づいていた。あの店員も彼らのグルだ。そうでなきゃ、あれほどの仕掛けを事前に仕込むのは無理だろう。ボクは、わざと笑みをつくらず店員に軽く会釈だけした。そして無遠慮な態度のままトイレへ直行した。そういえば今気がついたのだけど、店内にも二人の姿が見えない。今度は二人してトイレの中で待ち伏せか? まあそれならそれで構わない。ボクは正々堂々と排便を済ませるだけだ。それさえ済ませば、もうトイレになど用はない。その後は温泉旅の続きを楽しむのさ。 (つづく)