夢のトイレ37

夢のトイレ37  バックミラーを覗き込むが後ろからついてくる車はない。しかし安心はできなかった。あの二人は間違いなくボクを追っている。でも、どうしてあんな推理小説のトリックのような追跡方法を取るのだろう。直接追ってくれば話は早いのに。それとも、あのようなやり方でボクを責め立てるのが目的なのか。そうか、そういうことか。セブンイレブンのトイレの件も、ローソンの札束の件も、全部ボクへの嫌がらせなのだ。そうしてボクが怯えるのを見て二人は楽しんでいるんだ。それなら全てのつじつまが合う。この温泉旅行だってどうだ。そもそもこれは、ボクはが計画したものではない。しかし、これも全て二人が周到に仕組んだ罠だとすれば話が見えてくる。それにまんまとボクがハマってしまったというわけだ。そうかそうか、これで朝からの不思議な出来事は全て納得がいく。そうとわかれば、ボクはどうする? そんなことは簡単だ。ずっと騙されたフリをし続けていればいいのだ。二人の目的がわかれば何も怖いことなどない。次はどこへゆく? どこだっていいのだ。これからボクの行く先も彼らはすでに決めているに違いない。ボクがどう考えようと意味はないのだ。奴らの計画が分かった今、ボクは再び安らぎの中へとドライブを続けることにした。 (つづく)