夢のトイレ26

夢のトイレ26  「何か漏れているようですけど」 「えっ」 ボクは震える両手でショルダーバグを持ち上げてみた。バッグの底の方が濡れていて、そこから液体がしたたっていた。 「あっ、な、なんだろう。す、すみません。ありがとうございます」 ボクは慌てながら両手でバッグの底を包み込むように持ち直し、お尻でトイレのドアを押し明け外に出た。そしてそのまま店の外に向かおうとした時、レジの前で料金を支払っている白い車の男性と目が合った。彼は一瞬、ボクを見て笑みをこぼしたようにも見えた。ボクは視線を下に落とし、そのまま彼の後ろを通って店の外に出た。しかし、少しほっとしたのも束の間、ボクは再び大きな恐怖に包み込まれた。  (つづく)