夢のトイレ22

夢のトイレ22  繰り返しいろいろな場面を想像した。そして、その黄色い水が何であるのか承知の上で再びボクは札束に手を伸ばした。すると、コン、コン。 ボクはドキリとした。 コン、コン。 返事をする間もなく再びドアをノックする音。ドアの外には使用中であることを示す赤い表示が出ているハズである。しかし、外の人物はなおもドアをノックし続ける。「は、はい。入ってます」 ボクは緊張した小さな震える声で返事をした。ノックする音は消えた。しかし、ドアを挟んだその外には、息を潜める人の気配がそのまま居座っている。これはまともじゃない。白い車の男か? それとも、この札束のことを知る別の人物か? どうしよう。ボクは便座に腰掛け両手で頭を抱えて考えを巡らせた。おそらく外の人物は、少なくともここに札束があることを知っている。そうでなければ、ここまでこの個室に固執しないであろう。でも待てよ、それとも本当にただ用を足したいだけなのじゃないだろうか。ここの札束が目的ならば、何もボクがトイレに入るのを待たずに先に入れば良かったんだ。それともボクを罠にでもはめようとしているのか。 (つづく)