夢のトイレ19

夢のトイレ19  ボクは静かに車を駐車場に滑り込ませた。周囲は緑に囲まれていて駐車スペースもとても広い。そこには白い乗用車の他に、小型トラックとワンボックスカーが停まっていた。ボクは店内を見渡せる位置に車を頭から入れて停車させた。そして頭を低くして店内の様子を確認した。目の前の雑誌コーナーには、立ち読みをしている中年男性が見える。彼が白い車の持ち主なのか。そしてレジの中には従業員の姿。手元を見ながら何か作業をしている。ここからはトイレの状況をうかがい知ることはできない。ボクは車のドアを開け外に出た。そして、なるべく自然なかたちで大きく伸びをしながら店の奥の方に視線を向けた。他に人影は見えない。今はまだ何も起きてはいないようだ。タチの悪い悪戯に憤りながらも、いつの間にかボクは、その悪戯に好奇心を持つようになっていた。店のドアを開けて中に入ってみた。 (つづく)