夢のトイレ16 車に乗り込み大沼へ貫ける道を急いだ。あのまま逃げてきてしまったけど良かったのだろうか。警察か、あるいは救急車でも呼べば良かったか。いや、アレは悪戯だ。あのお客が仕組んだ手の込んだ悪戯に決まってる。おかげでボクは、排便しそこなってしまったんだ。ボクのほうが被害者なんだ。ボクが逃げてなにが悪い。しかし、そう自分に言い聞かせながらもボクの鼓動は大きく脈打っていた。対向車線を赤色灯だけをつけサイレンを鳴らさずに1台のパトカーがすれ違っていった。なんとなくミラーでその行方を追ってみたが、蛇行した道は、その先の視野を閉ざしてしまった。大沼に入ればすぐにローソンがある。あそこで用を足して一休みしよう。いつの間にか出し過ぎていたスピードを少し緩め、ボクは大きく蛇行する上り坂を大沼方向へ進んだ。 (つづく)
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