夢のトイレ14 駐車場には、先ほどの白い乗用車と黒の軽自動車が停まっていた。他にもお客さんがいるのかな。ボクは車を降り店の入り口に向かった。扉を開けると弁当の陳列作業をしている店員さんが「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。ただトイレを借りるために寄っただけなので、何だかとても申し訳なく思った。店の奥の方では別の店員さんが作業をしている。店内を見渡すが他に客の姿はない。ボクの予想は的中した。やはり彼はトイレを急いでいたようだ。トイレの前で待っているのもはばかられるため、ボクは雑誌コーナーに向かい、本のタイトルを確認もせずに1冊の雑誌を手に取りパラパラとめくってみた。新しい本の印刷の匂いが鼻腔に届く。そしてこの匂いがボクの便意を促進させた。これはちょっとマズイぞ。本を元に戻し、ボクは音を立てないようにしながらトイレの前に忍び寄った。もしかしたらトイレの個室がふたつあるかもしれないと期待をしたのだ。中の様子を確認しようとトイレマークのついた扉を開けてみた時だった。またしても現実的ではない光景に出くわしてしまった。 (つづく)
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