夢のトイレ12 しかし、そんなことするまでもなかった。ボクは今、ハンドルを握っていた。目の前には函館新道の出口を示す標識が見える。助手席を見ると、ショルダーバッグもそこにある。ボクの想像力は、ボク自身も知らぬ間に驚異的なレベルまで成長したのか。それとも、何かタチの悪い精神病にでもなったのか。いずれにしても運転中は、あまり余計な想像はしないようにしよう。車は函館新道を降り一般道に入った。少しゆくと左手には昆布館の建物が見えてくる。週末には観光バスも停まり賑わうところだが、早朝なので今は誰もいない。ボクは、この昆布館にも行ったことがある。全道多種多様の昆布や昆布を使った珍味や菓子が展示、販売されており、その多くは試食が可能だ。いやいや、いけない。こんな想像していたら今度は昆布館の中に移動してしまう。静まり返る昆布館の前を静かに通過した。その時1台の白い乗用車が猛スピードでボクの車を追い越してゆき、少し先にあるセブンイレブンの駐車場に入っていった。もしかしたら急な便意でも催したかな。ふふ。 (つづく)
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