夢のトイレ10

夢のトイレ10 今朝からずっと何かがおかしい。そもそも、この旅は何だ。ボクが計画したのでもないし、誰かに指示されたわけでもない。なのにボクは「早春の温泉宿」に向けて旅を続けている。行き先すら知らずにだ。普通ならこんな理不尽な話、家を出る前におかしいと気づくだろう。あたりを見渡すと新幹線のグランクラスには他に乗客の姿はなかった。ボクがそう想像したのだから、それも当然のことなのだが。あ、そういえばカバンがない。ショルダーバッグは車の助手席に置いてきてしまった。財布もあの中だ。ボクはどうやって新幹線の料金を支払えばいいのだろう。当然、切符なんて持ってないし・・・ そう思った瞬間、ボクは突発的に右側の尻のポケットに手を突っ込んだ。何も入っていない。そして左へ・・・  (つづく)