2015年3月28日テロップ記事

328日 遠くから見ると光は何軒かの家々から発せられているように思えたが、近づいてくるにつれ、それはたった1軒の家の明かりであることが分かった。海岸沿いには不釣合いな感じがするレンガ造りの3階建ての大きな建物であった。そして不安は現実のものとなった。いくつかの窓から明かりが漏れ中に人がいるのは確かだが、ここは民家である。日が落ちた荒天の中での見知らぬ男の突然の訪問は、不要な警戒を与えかねない。しかし、風と雪は一段と勢力を増し、寒さだけではなく今やボクから視界すらも奪おうとしている。数分間の熟考の後、ボクは勇気を出してドアの横の呼び鈴を鳴らした。 (つづく)