3月25日 駅舎を出たところには車の乗り降りが出来る程度の小さなスペースがあった。その先には道路が横切っており、道路の向こう側には店舗を兼ねた木造住宅のような建物が数軒並んでいる。酒屋や金物店、食堂などの看板が見え、中からは明かりが漏れ営業はしているようだが、その前を行き交う人影は見られない。道路を渡り1軒1軒見て回ったが旅館やホテルのような宿泊施設はなかった。今度は道路の先を確認するが、どちらを向いても、その先に建物の明かりは見えなかった。どうしよう、次の列車を待つか、それとも右か左に進んでみるか・・・ そういえば、さっき遮断機のところに人が立っていた。ということは少なくともそちらに向かえば、ここから歩いて行ける範囲に生活圏があるのかもしれない。しかも、ここからは海が見えないけど、遮断機を渡って行く先は海の方角だ。うまくいけば海辺の旅館が見つかるかもしれない。 ボクはオレンジの外灯がぼんやり灯る道を遮断機のある方に歩き始めた。(つづく)
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