第12話 「葛藤の末」
「すみません。どうしてもお伝えしておきたいことがあるんです。お願いですから中に入れて下さい。」
「は、はぁい。」
てっきり“男”と思っていた人物が“女性”であった驚きと、まだ消えやらぬ恐怖心から、間の抜けたような返事をするのが精一杯だった。
「どちらさまですか?」
相変わらず間の抜けた声でたずねた。
「詳しくは中で。まずはドアを開けて下さい。あなたにとっても大切なお話なのです。あなたと、それと、あなたの“彼女”にとっても。」
大きな衝撃が走った。やっぱり、やっぱり彼女も今回の一連の出来事に関係してたのか。
「早く中に入れて下さい。」
とても迷った。目の前にいる“女性”がボクのこの現実離れした状況を解明する唯一の手掛かりとなるであろうことは明らかだ。でも、“女性”がボクの味方なのか敵なのか、それが分からない。何と言っても、ボクはもしかしたら重罪をおかしているのかもしれないのだ。それを“女性”は知っているのかもしれないのだ。心の中で葛藤が続いた。
いや、待てよ。もしも彼女がボクの犯した犯罪を知っているとすれば、彼女は直接ボクのところへ来るよりも、警察に行った方がいいに決まってる。わざわざそんな犯罪者のところに直接来るなんて、ちょっと考えにくい。それに彼女はたった一人でボクを追っていた。彼女が警察官なら単独で動くようなことはしないだろう。その考えにボクは一人で納得し、緊張を少し和らげた。それでも油断はせず、手にした包丁を上着のポケットに忍ばせ、ゆっくりとドアのカギを開けた。
(第12話のあとがき)
あぁあぁ、そんな不用心に開けちゃっていいのかな。何と言ってもこれは、“SF超大作”なのです。一寸先は闇なのです。開けたら最後、何が起こるか分かりません。 あぁあ、いいのかなぁ…
それでは明日も見て下さいね~♪ ありがとうございます。
(おしまい)
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