SF超大作「続・大福」第9話

9話  「形勢逆転」   

 

水色の車は、まだそのまま停まっていた。そして彼女の部屋の明かりはついたまま。遠くからなのであまりよく見えないが、何者かが彼女の部屋を物色しているようだと分かる。

「さて、どうする。」

今度はこっちが向こうを監視する側となり、先ほどまでの恐怖は少し薄らいだ。車をアパートの向かい側の建物の影に停めライトを消した。アパートの中では、人影が行ったり来たりしている。

「それほど大男ではなさそうだな。」

そう思うことで、ボクはボク自身の恐怖を和らげようとしていたのかもしれない。

しばらくすると部屋の明かりが消えた。そして、玄関から人が出てきた。濃紺の防寒意に付いているフードを頭の上にそっくりかぶっていて、夜の闇の中では、その表情をうかがい知ることはできない。でも、さっき部屋の中にいた時に感じた通り、あまり大男ではなかった。むしろ小柄な印象さえ受ける。しかし、得体が知れないのは変わりなく油断はできない。それにボクは腕力もなく力でぶつかり合うようなケンカもしたことがない。いくら相手が小さくても残念ながら勝てる自信はない。

「でもよかった。少なくとも彼女が奴と鉢合わせになることは避けられた。」  

彼は車に乗り込んだ。しかし、エンジンをかけたがなかなか発進しない。おそらく彼も、この先どうしたらいいのか考えてるのだと思う。

「先に動いた方が負けだ。」

映画やアニメの戦いの場面ではよく使われるフレーズ。まさかボクが実際にそれを使う場面に遭遇するとは。

30分ほど経過したか。相手の車が動き出した。どうすることにしたのかは、当然知ることはできない。

「今夜はあきらめたか?」

それならいいが、何か別な作戦を考えたのではないか。そう思うと安心はできない。

慎重に時間をおいた。それからおもむろに車を発進させた。彼女の部屋に何か手がかりのようなものを残していかなかったか気になり、もう一度彼女のアパートの前に車をつけた。急いで部屋に向かい、まずは開け放たれたベランダのドアを閉めた。そして部屋中を入念に見て回った。特に荒らされたような形跡はなかった。

「一体彼は、ここで何を知りたかったのだろう。一見してここは女性の部屋だと分かるし、ボクの部屋でないと分かれば、あんなに時間をかけて物色する必要もないと思うが。」

そう考えながら観察を続けてゆくと、彼女のパソコンの主電源が切れているのに気付いた。彼女のパソコンは、最近立ち上がるのにひどく時間がかかるようになってきて、彼女はそれが嫌で、いつも必ずパソコンはスリープ状態にしていた。  

「さっき部屋に来たときは、電源は切れてただろうか?」

慎重に記憶の糸をたぐり寄せようとするが、この小さなライトが点灯していたか否かの記憶映像は引き寄せることができませんでした。     

 

(第9話のあとがき)     

 

話は変わりますが、今朝のZIPでポン(日テレ)は外れてしまいました…  

残念、 4連勝ならず…   今夜は祝杯をあげる想像をしていたのですが、ヤケ酒になってしまいました。  というか、こんなゲームごときでヤケ酒していたら、毎日がヤケ酒になっちゃうのです。 やっぱり今日も一日がんばって、その中で良かったことを見つけ出し、それを肴に喜びのお酒にするのが良いのです。  

よし、今日もがんばるぞ!  本日も見て下さりありがとうございます。 

 

(おしまい)