SF超大作「続・大福」第4話

4話  「ユニクロのシャツ」

     

タイムカードの枚数を数えた。もし1枚でも足りなくなっていれば、そればボクが…   そう思いつつ慎重にカードを数えた。ボクの職場は、社長を含め16名の社員がいる。社長以外の15枚のカードがあればいいのだが…    

「121314 。  1枚足りない…」

もう一度数え直した。やはり1枚足りない。

「誰のが無い?  あっ。」

無くなっていたのは、1年ほど前に入社した、会社では一番若い女性社員のものだった。とても機転がきいて、作業も丁寧で、人づきあいも良い女性だった。もちろんボク自身も、彼女のことを一度として恨んだり憎んだりするようなことはなかった。

「だけど、ボクが彼女を殺したんだろうか?」

でも、その理由は全く見当がつかない。

「はっ、ニュース。 そうだ、ニュースを見てみよう。 殺人があったのならニュースでやってるかもしれない。」

再び急いで自分の席にもどり、ノートパソコンを開いた。全国ニュースから地方のニュースまで入念に検索していったが、それらしい殺人事件を取り扱っている記事は見当たらなかった。

「そうだ。」

今度は、地元警察署のホームページを開いてみた。ここには、最近市内でおきた事件や事故が詳細に報告されている。1226日以降、コンビニ強盗、車上荒らし、放火未遂といた事件が散発しているが、殺人事件や傷害事件は1件もおきてはいなかった。

「では、彼女がいなくなった理由は?」

調べれば調べるほど何もかもが分からなくなってきた。あらためて自分の机の引き出しを全て開けて調べてみた。しかし、それら以外には今回の件に関係していそうなものは見つからなかった。気が付くといつの間にか全身汗だくになっていた。上着を1枚ぬいで椅子の背もたれにかけた。いつもは自分が今日着ている服のことなど、これっぽちも考えることはないので、上着を着ていれば、その下のシャツの色など問われても答えられない。もちろん今日だって。だから、今の今まで気が付かなかった。そう、今ボクが着ているシャツは、机の中の血まみれのシャツそのものだった。

「これはどういうことなんだ? 平凡なユニクロのシャツだけど、ボクは1枚しか持っていない。」

SFとかホラーなんかでなければ、やはりこれは誰かがボクを陥れるために仕組んだ罠か、あるいは非常に手の込んだイタズラとしか考えられない。

「そうだ、きっとそうに決まってる。」

でも、そうだとしても、彼女がいなくなった理由にはならない。胸の所に小さなポケットのついたシャツ。このポケットがボクのお気に入りだった。恐る恐る血まみれのシャツに手を伸ばした。胸のポケットをのぞきこむ。中に紙切れが見えた。嫌な予感とともに、その紙片を取り出して見ると、再び強烈な衝撃がボクの脳天を直撃した。

 

☆第4話のあとがき

 

というか、こんなのに”超大作”なんて言ってしまっていいものでしょうかねぇ。でも、おそらくたぶん1日平均試聴数は0.20.5人(推定)くらいなので、あまり迷惑をかけることもないからいいのです。明日もSF超大作は続いちゃうのです。

で、本日仕事始めとなりました。

で、今仕事が終わりました。

で、これから晩酌始めるのです。

みなさんも連休の最後を楽しんで下さいね~

 

(おしまい)