サホロリゾートで雪見酒 後編
昨夜は、思いがけず洋風晩酌で雪見酒を楽しむことができました。早めに就寝し、いよいよ本日は、今回の旅のもうひとつの目的であるスキーを楽しみます。昨夜から降り続いた雪も朝には、おさまり、気温は氷点下7~8度くらい。パウダースノーを体験するには、絶好のコンディションです。
(前編をまだご覧になっていない方は、こちら”サホロリゾートで雪見酒 前編”もご覧ください)
7:00 ビュッフェ形式の朝食です。地元新得そばをはじめ、和洋さまざまな惣菜食べ放題。これから始まる戦い(?)を前に体力をつけるべく、まずは腹ごしらえ。あらゆるものを摂取しました。当然、ごはんもおかわりしました。
十勝は、乳牛の生産でも知られています。濃厚な牛乳も大量摂取。
朝食の後、部屋へ戻りトイレも大小済ませました。
戦いの準備も整い、いざ出陣!
9:00 いつの間にか雪はやみ、青空が見えてきました。いい天気です。空気もすんでいて山頂もくっきりと見ることができます。次第に鼓動が早くなり、いつも旅に出るときと同じようにとてもワクワクしてきます。写真など撮っている場合ではありません(撮ってるけど)。
さぁ、滑るぞ~!
山頂へと続くゴンドラに乗り込みます。標高1,060mをおよそ10分で登り切ります。
早く山頂へ着いて滑ってみたいけど、普段乗らない乗り物に乗るのも、とても楽しい経験です。針葉樹が生い茂り、窓から見る景色も最高。山頂まで10分の、これまでで最短の旅を堪能しました。
山頂駅に到着しました。再び雪が降り始め、残念ながら十勝の広大な風景は、ややかすんでしまいました。
辺りの木々は、山麓のと違い樹高が低く、みな樹氷で真っ白に飾られています。自然が造りだす芸術には、いつも感動させられます。
雪は降ってきましたが、風はなくスキーをするにはコンディション良好です。今回の旅のもう一つの目的、待ちに待ったパウダースノーをスキーで駆け巡ります。
十数年ぶりのスキーでしたが、体が覚えているものですね、バランスをとるのは容易でした。華麗な(?)シュプールを描き麓を目指します。
滑り降りる時の風を切る感覚、体の前面に感じる風圧、舞い上がる粉雪、全てが懐かしく爽快です。ところが滑降半ばといったところで、急速に息が切れ始めました。スキーの感覚だけは、体がしっかりと覚えていてくれましたが、体力は極限まで衰退してしまっていたようです。麓までたどり着いた時には、すっかり息が上がってしまい、体の力が入りません…
とりあえず滑りをご覧ください。
動画がうまく見られない方は、こちらから。http://www.youtube.com/watch?v=znau47uKKcI&feature=mfu_in_order&list=UL
いかがでしたか?僕の滑り。
茶番のようで納得のゆかない方もいらっしゃったかもしれません。
再び山頂へやって来ました。それでは、on board camera(おんぼ~ろカメラを手に持って滑っただけですけども)で、サホロリゾートの風景と滑降の臨場感をお楽しみください。
動画がうまく見られない方は、こちらから。http://www.youtube.com/watch?v=A4I-kJkD570&feature=mfu_in_order&list=UL
その後も、急斜面、緩斜面、林間コースを滑りまくりました。ふもとまで降りてくるたびに息が切れ全身脱力状態となりますが、リフトやゴンドラに乗っている間に回復し再び”♪す~べ~るスキ~の~風切る は・や・さ~”を楽しみます。
気が付けば時刻は午後1時を回っていました。朝あれほど大量摂取したのに、空腹感が急速増大してきます。ゴンドラ乗り場には、レストランや軽食のとれるコーナーがあるのですが、さきほどゴンドラ乗り場のすぐ隣に発見しました、”冬の収穫祭”。これまた魅惑の催しです。迷うことなく収穫祭で昼食をとることにしました。
じゃがバターにあったか豚汁、串焼き、殻付ホタテ焼き…
大好物ばかりで選ぶことができません。昼時を少し過ぎておとずれると、いくつかのメニューは値引きされていましたよ。
心も体もあたたまり、すっかりリフレッシュ。さて、午後も滑りまくるぞ!
いや~ 気分爽快。あ~ 楽しい。
緩急変化に富んだコースに、360度どこを見渡しても北海道の大自然。仕事後に飛行機に乗ってまで来たかいがあったというものです。
楽しい時間は、瞬く間に過ぎてゆきます。
その後も休むことなく滑り続けました。ふと気が付くと辺りは薄暗くなり、いつのまにかナイター照明が灯っていました。気温も急激に低下してきたのが、手のかじかみ具合で分かります。時刻は、午後5時を過ぎました。ナイター営業は、午後6時までやっていますが、そろそろ寒さが手だけではなく、身にも浸みてきました。最後にホテルへ通じる緩斜面を滑走し、名残惜しいけど本日のスキーは、これにて終了。
昨日同様、今夜の雪見酒の体制を作るため、リフレで温泉につかり冷え切った体を温め、便所を済ませました。便所を先にしてから風呂に入った方がより清潔になれたかもしれませんが、実際にはすでに、このような順序になってしまったのだから仕方ありません。今宵向かうは、”北海道郷土料理 ゆきざき”です。早いうちに予約をしておいたので、今夜は和食で雪見酒をすることができました。洋食も良かったけど、”雪見酒”といえば、やはり和食もいただきたいものです。
料理が運ばれてくるまでの間、選び放題食べ放題の漬物で、まずは乾ぱ~い。
さきほどまでのスキーの体感の余韻が、今もまだ残っています。実に気分爽快です。体を動かした後のビールも格別です。写真右側の長芋の漬物は、美味しかったな~。ほんのり甘酸っぱくシャキシャキでした。
料理が運ばれてきました。豆乳豆腐イクラ添え。豆乳も豆腐も大豆なので、豆乳豆腐と言われても、どういうことなのかよく分からないまま一口いただきました。あぁ、確かに豆乳の味わいです。なかなかするどく雪見酒の風情を感じさせてくれる一品です。今夜の雪見酒、すぐさま日本酒モードへ突入となりました。
根室、碓氷勝三郎商店の北の勝。とても爽やかな味わいのやや辛口のお酒です。香りもきつくなく、和食とともにいただくと、これまた大変美味しい大好きなお酒です。
それではクイッと一杯。
「いやぁ、参った~。これは、全くもって理想的な雪見酒になってしまった~。」
メインの料理を前に、幸せ度はすでにピークに達しました。
ウドの酢味噌漬けです。ウドのウドにしかない独特の苦みが、甘酸っぱい味噌と絡み合い、北の勝の爽やかな辛さに非常にマッチしています。雪見酒に平和を感じます。
北海道の真ん中、海からは最も遠い地域にありながら、美味しい海の幸をいただくことができました。輸送技術の進歩の勝利です。イカ刺しだけは、函館活イカには劣りますが甘みは十分。その他の食材も鮮度抜群であり、ホタテの甘み、マグロの旨味、カンパチの脂身を堪能しました。
今夜もお酒が進みます。気持ちよく酔いが回ります。
年明け早々に、大好きなたち天にめぐり会えました。広尾産の真たちとのこと。大葉も海苔もいずれも衣がカリカリです。油で揚げられ、大葉からは緑の香りが溢れます。海苔からは磯の匂いが漂います。たちからは柔らかい甘みがあふれ出します。
「ほんとにどうしよう。あまりにも出来すぎた雪見酒だ!」
”銀”たらです。だまって食べてもおいしいのに、表面にうっすらとウニソースが塗られています。タラとウニ、それぞれ異なる甘さが混ざり合い、これまで経験のない旨味へと変貌をとげています。焼き加減も最適で、身のぷりっじゅわっとした食感が歯茎に頬の内側に喜びを与えてくれます。
鮭と生麩の白菜巻き。中心部分にしっとりとした甘い鮭の身、それを直接生麩が取り囲みます。さらに全体を甘くしゃきしゃきとした白菜が包み込みます。食感も味わいも素性もまったく異なる食材の組み合わせ。どういう発想でこれらのコンビネーションが生まれたのでしょうか。すごいですね~。
食べてみます。まずは白菜の甘さがダイナミックに感じられます。白菜の白くて硬い部分が咀嚼されるにつれ、鮭と白菜の風味を十分に吸った麩の存在に気が付きます。しかしその移り変わりはあいまいで、知らぬ間にしっとりとした鮭の身の味わいへと変化します。見事な味と食感のグラデーションです。
この後、ご飯(道産ななつぼし)、アサリの味噌汁、そして最後に水菓子が出てきました(酔っ払って写真を撮るのを忘れてしまいました…ごめんなさい)。
写真を撮るのも忘れるくらい、夢心地の雪見酒を楽しむことができました。
ごちそうさまでした。
幸せ気分いっぱいで、ゆっくりと部屋へ帰ります。廊下の途中に大きな窓があります。外では、しんしんと雪が降り続けます。奇抜なデザインの三人掛けの椅子に腰かけ、音もなく降り続ける雪をいつまでも眺めます。
十数年ぶりのスキーとあこがれの雪見酒体験。今回の旅も永遠に忘れることのない大切な旅となりました。
最終日も予報に反して天気は良く、昼までスキーを楽しんで、その後帰宅の途につきました。また来たいな、サホロリゾート
おしまい。