気がかりなこと

2015年

1月

20日

2015年1月20日テロップ記事

120日  親指と中指を離してゆくとピンク色の塩辛汁の中にガラス片が見て取れました。 それを皿の端に移し、ボクは急いで手を洗いに行きました。 右手中指の先には、1mmにも満たない小さな穴が開いていました。 試しに右手の親指で中指を押してみます。 痛くない。 やはりあれは、この数週間ボクを悩ませ続けてきたガラス片だったのです。 本当は何かもっとドラマチックな展開なども期待してたのに思いがけないほどあっけなくボクの悩みは消え失せてしまいました。  はぁ・・・。   今回の経験を通じてボクが知り得たこと、それは・・・    ボクは右手で物をつまむとき、親指と人差し指ではなく、親指と中指を使っているのだということ。  (おしまい)

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1月

19日

2015年1月19日テロップ記事

119日  イカの足を1本テーブルの上に落としてしまいました。 イカんイカん。 心の中で独りダジャレを口ずさみ右手の親指と中指でイカの足をつまんだ、その時でした。 中指の先とイカの足の間に、何か異物をはさみこんだような感触を感じました。 孤立した小さな異物感は、イカの吸盤とは明らかに違います。 そのまま指をこすり合わせるとコリコリと指の下で動くような感じがします。 そのコリコリを指の間に上手に残したままボクはイカ足だけを口に放り込みました。 (つづく) 

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1月

17日

2015年1月17日テロップ記事

117日  いつものように仕事を終え帰宅したボクは、晩酌準備をしてテーブルの前に座りました。 瓶ビールから小さなガラスコップにビールを注ぎ、まずは高速で杯を空けます。 そして2杯目のビールをコップに注いでからおもむろにテーブルの上の5円玉を手に取りました。 そして何度となく繰り返してきた“トゲ抜き手技”を試みました。 結果は予想したとおりでした。 ガラス片は浮いてきません。 すぐにトゲ抜きは諦め2杯目のビールをグイッと空け、イカの塩辛を箸でやや乱暴に口の中に放り込みました。 その時・・・  (つづく)

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1月

16日

2015年1月16日テロップ記事

116日  この「ガラス片テロップ記事」を書き始めたのが昨年1222日。 この1222日時点ではまだ指の中のガラス片は取り残さたままでした。 そして当然のことながら、その後の展開もまったく予想できませんでした。 予想ができないわけですから、このガラス片話についての起承転結とかオチとか、そういうものも考えようがありません。 なのに「ガラス片テロップ記事」の連載は始まってしまいました。 まあ、何度かのトゲ抜き手技の繰り返しで、いつしか上手に取り出せるのでないかな? あるいは思いもよらなかった意外な結末が待っているかもしれない、そんな軽率な気持ちで連載をつづけていました。 そして迎えた年の瀬も押し詰まった1229日の夜、事態は思わぬ展開を見せたのです。  (つづく)

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1月

15日

2015年1月15日テロップ記事

115日  昼休みの間中ボクは、ほぼ休むことなくガラス片を抜き取る作業に没頭した。 しかしガラス片の姿を見ることすらないまま昼休みは終わった。 ボクはトゲ抜き手技に自信を持っていた。 これまでかつて抜くことのできなかったトゲはない。 その自信が崩壊してゆく悔しさが、いつのまにかガラス片に対する怒りへと変わっていった。 このガラス片が取り除けるならば、いっそ指ごと切り落として・・・  いやいや、そこまで大げさにするつもりはありません。 これくらいのことで指がなくなるのは困るのです。 やはり、事はなるべく穏便に済ませたい。 そうして少し冷静さを取り戻し、ボクは午後の仕事に向かった。  (つづく)

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1月

14日

2015年1月14日テロップ記事

114日  これまで抱え続けてきた嫌悪感から解放される時。 目論見通りに異物が排除される喜びの時。 ボクは間もなくおとずれるその時を想像していた。 左手で5円玉を取り右手の中指の先に押し当てた。 5円玉の穴の部分に見える皮膚がピンク色から赤紫色へと変化してゆく。 でもまだガラス片の姿は見えてこない。 ボクはその時がこのあとすぐにおとずれることを全く疑うことなく5円玉を押し続けていた。 (つづく)

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1月

13日

2015年1月13日テロップ記事

113日  左胸のネームプレートの安全ピンを外した。 そのピン先で、まずはガラス片埋没部の表皮を引っ掻くようにして浅く切開した。 ピン先がガラス片に触れ、ジャリッという感触がピンを持つ左手に小さく伝わってきた。 ボクは小さく満足した。 しかし、ガラス片本体の大きさを想像して、妥協することなくボクは更に切開を大きくした。 「よしっ」 いよいよこの時がやって来た。(つづく)

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1月

12日

2015年1月12日テロップ記事

112日  そして待ちに待った昼休み。 部屋の外では有線でミスチルの「口笛」が流れている。 ボクの大好きな曲のひとつだ。 扉1枚を隔てて小さく聞こえる「口笛」を聴きながら、ボクはもう一度5円玉を中指の先に押し当ててみた。 やはり結果は同じだった。 窓の明かりの下で状況を詳細に確認してみた。 昨日見た時はガラス片の一部がほんのわずかに皮膚表面に露出していたのだが、今ガラス片は完全に表皮に覆い尽くされていることが分かった。 ボクは、すぐさまトゲ抜き手段その2”を発令した。 (つづく) 

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1月

10日

2015年1月10日テロップ記事

110日  今ボクは、午前の仕事を終えスチール製の職場の机に両肘をついて右手の中指を眺めている。 そして左手には5円玉。  昨夜、芋焼酎をやっていた時、その職場の机の引き出しの中に小銭が何枚か放り込んであったのを思い出したのだ。 今朝出勤時に確認すると、かろうじて5円玉1枚を発見した。 ボクは一人でニヤリと笑顔を作り、すぐさま5円玉の穴の部分を右手中指のガラス片の埋没しているところへ押し当てた。 ところがどうだろう。 期待した変化は何も起こらなかった。 何度も何度も強く押し当ててみるが状況は変わらない。 間もなく仕事開始時刻になる。 それまでに全てを解決させておきたい。 しかし、そんなボクの願いは叶うことはなかった。 (つづく) 

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1月

09日

2015年1月9日テロップ記事

19日  そしてボクはその後、5分ほどかけて引き出しの中を隅々まで探してみた。 しかし、どういうわけか穴の空いた硬貨を見つけ出すことは出来なかった。 心の奥底にもどかしさを抱きながら、ボクは晩酌の準備にうつった。 今夜は芋焼酎にカツオのたたきで1杯・・・  いや、5杯くらいやるつもりだ。 (つづく) 

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1月

08日

2015年1月8日テロップ記事

18日  人は考える葦である。 あれ、これを言ったのは誰だっけな?  それに、そもそもこの言葉の意味はなんだろう?  わかんないけど考え続ければ何か名案は思い浮かぶだろう。 あっ!  ボクは突然立ち上がり、隣の部屋に向かい簡易キッチンの引き出しを開けた。 この引き出しには、数年前にはまっていた手品グッズがしまってある。 なぜキッチンの引き出しなのか、そこにはたいして意味はない。 さて、その手品グッズだが、以前ボクは特別なタネや仕掛けもなくできるコインマジックにも没頭したことがある。 その、穴の空いている特性から5円玉や50円玉を使う手品も結構あった。 おっ、 1000円札発見!  うわっ、500円玉もあった。 なので、この引き出しに穴の空いた硬貨がある可能性は高い。 (つづく) 

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1月

07日

2015年1月7日テロップ記事

17日  自宅に戻り、買ってきた箱ティッシュと食器洗剤を保管場所に入れ、蛍光灯の下であらためて右手中指の先端を眺めた。 皮膚の角質層の下には確かに何かがある。 いや、間違いなくガラス片があるのだ。 ちょうど中心部分にガラス質の尖ったような形状が、ほんのわずかに確認できる。 でもガラス片の大部分は皮膚の中に埋没している。 触らなければ痛みもないが、どうにも気になって他のことが手につかない。 ボクは考えを巡らせた。  (つづく)  

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1月

06日

2015年1月6日テロップ記事

16日  しかし、この時ボクは瞬時に見抜いていた。 レジ袋15円を買い足せば合計金額は571円となり、1000円で支払えばお釣りは429円。 お釣りの中には5円玉が入ってくる。 でもボクには出来なかった。 レジの女性は、とてもスピーディーに仕事をすすめ、すでに目の前の全自動レジからはレシートとお釣りが排出されていたからだ。 「はい、レシートとお釣りになります。 お確かめください」 「えっ、 あ、 はい、ありがとうございます」 ボクは、お釣りを確認することもなくレシートとともに小銭入れにしまい、購入した商品を手に取り店を出ることにした。 サービスカウンターの前を通ると、そこに設置された募金箱の中には黄金色の5円玉がいくつも見えた。 (つづく)

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1月

05日

2015年1月5日テロップ記事

15日  ボクは財布の小銭入れを覗きこんだ。 えーと、100円、200円、300円・・・  あれ、600円ない。 ならば1000円札。 ボクはお札入れの方から1000円札1枚を取り出しレジ横の支払い皿(と言うのかな?)の上に載せた。 そして11円・・・  あれれ、1円玉がない・・・   (つづく) 

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1月

03日

2015年1月3日テロップ記事

13日  「袋は必要ですか?」  「えっ、あ、 いえ、 要りません」  「商品にシールをお貼りしてもよろしいですか?」  「あ、はい。 お願いします」  「はい、では合計で566円になります」  566円。  穴の空いた硬貨をもらうには少々不適切な金額である。 600円を支払うとお釣りは34円。 よほどのことがない限りお釣りに5円玉が混入することはないでしょう。 しかし、みなさんもお釣りでもらう硬貨の枚数を少しでも少なくするための工夫、してますよね? そう、この場合支払う金額に1円加えればいいのです。 601円を支払えばお釣りは35円。 よほどのことがない限り10円玉3枚と5円玉1枚がお釣りとしてもらえるはず。 うふふふふふ。  (つづく)

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2015年

1月

02日

2015年1月2日テロップ記事

12日  レジの手前に売っている、ちょっとしたお菓子やダイエット食品。 レジ待ちをしていると、ついつい手をのばしてみたくなる。 敵もなかなかやるものである。  いやいや、お店は敵ではないのです。 じゃあ味方なのか? 良質の商品を提供してくれている点を考えれば味方といってもいい。 しかし、見返りにお金を取られる。 敵でも味方でもないとすると、それじゃあ何なのかな?    ライバル?    そんな馬鹿な考え事をしているうちにボクの番がやって来た。  (つづく) 

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1月

01日

2015年1月1日テロップ記事

11日  車に乗り込みコープさっぽろへ走らせました。 小銭をつくるためだけにコンビニで買い物をする用は今はない。 でもスーパーで消耗品を買うならいいだろう。 ティッシュや洗剤を適当に買って、そのお釣りの中から穴の空いた硬貨を見つけ出せばいい。 コープさっぽろ人見店は18時を回っているにもかかわらず大変混雑していた。 駐車場に車を停め買い物かごを手に真っ直ぐ奥の日用品、医薬品コーナーへと向かった。 うまい具合に箱ティッシュは5178円(税別)だった。 それをふたつカゴに入れ、169円(税別)の食器用洗剤をひとつ追加した。 そして急いでレジに向かう。 どのレジにも長い列ができていた。  (つづく)

2014年

12月

31日

2014年12月31日テロップ記事

1231日  ウソでなくてホントの話。 5円玉も50円玉もないのです。 20枚くらい硬貨がたまっていたのに、穴の空いた硬貨は1枚も入っていなかったのです。 指のガラス片、どうしよう・・・  今からコンビニに行って何か買ってお釣りでもらってこようか。  いや、それはちょっとめんどくさいし、今コンビニで買うようなものもない。 だからといって指のガラス片をそのままにしておくのは、今夜の健やかな晩酌の妨げとなるのは間違いない。 ボクは決心しました。 ばらまいた硬貨を再び貯金箱に戻し玄関に向かいました。  (つづく)  

2014年

12月

30日

2014年12月30日テロップ記事

1230日 貯金箱の裏の黒いゴム製の蓋を外し、テーブルの上に小銭をばらまいた。 500円玉が3枚も入っていて、ちょっと嬉しくなりました。 100円玉が数枚と10円玉、1円玉・・・   あれっ、  ない・・・   (つづく)

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2014年

12月

29日

2014年12月29日テロップ記事

1229日  自宅に着く頃には、外は真っ暗になっていました。 誰に見られている訳でもないのに、ボクは急いでいるのを隠すように自宅に入りました。 そしてまっしぐらに丸型郵便ポストの貯金箱へと向かいます。 ボクはいつも小銭で財布が膨らむごとに、ポスト貯金箱の投函口に全て投入してきました。 先月、銀行ですべて両替してきたばかりだけども、それから何度か投入しているので目的のものは必ず見つかるはず。  (つづく)

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2014年

12月

27日

2014年12月27日テロップ記事

1227日 そして夕方。 指先の異物が気になり、あまり集中できぬまま仕事は終了。 再び車で函館に向かいました。 既に日も傾き、車内の明るさでは指先の様子は確認できません。 帰路は、いつも以上に長く感じました。 「はあ・・・」   (つづく)  

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2014年

12月

26日

2014年12月26日テロップ記事

1226日 森町の職場に着いた。 誰かに5円玉を借りてすぐにでもガラス片を取り除きたかった。 しかし、その日は到着が遅かったため既に仕事が始まっていて借りる間もなかった。 ボクは中指を少しそらすようにして、ものに触れないようにつとめるしかなかった。  (つづく)  

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2014年

12月

25日

2014年12月25日テロップ記事

1225日 そしてすぐに、これは顕微鏡操作の時のガラス片ではないかと思い当たりました。 ボクは、すぐさまカバンから財布を取り出し穴の空いた硬貨を探しました。 ない・・・  なぜ穴の空いた硬貨なのか。 これは、ボクのトゲ抜きの常套手段なのです。 トゲが刺さってしまった時、そのトゲの部分を中心にして穴の空いた硬貨を強く押し当てると、あら不思議、トゲが押し出されてくるのです。 しかし、今はそれができない・・・ (つづく)  

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12月

24日

2014年12月24日テロップ記事

1224日 それから数週間後。 指先の痛みを忘れかけていた頃に再び不快な痛みが走りました。 森町への出張の際に車中で小説本を読んでいた時。 本に触れた中指に痛みを感じました。 車窓からの陽光で確認してみると、先日確認した指先の膨隆が少し大きくなり、その頂点の部分に1mmないくらいの小さな窪みができていました。 なんだろう? その窪みの中に何か小さくて白っぽいようなものが見えるような気がしました。  (つづく)

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2014年

12月

23日

2014年12月23日テロップ記事

1223日  「痛っ!」 ビールを飲むコップに右手中指の先端が触れた時に、小さいながらもひどく不快な痛みを感じました。 よく見ると中指の先端の中央部分に直径3mmくらいの膨隆ができていました。 もう一度こんどは左の手でその部分を押してみました。 チクリ、ではない、なんとも筆舌には尽くしがたい不快な痛みが生じます。 似たような痛みを無理やり探すと、そう、トゲが刺さっているのに似た感覚。 しかし、若干老眼が始まったボクの目には、見たところトゲなど異物のようなものは見えません。 その日は、そこに触れないようにビールを飲み干し、その後、焼酎の水割りを3杯飲んで眠りにつきました。 (つづく)

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2014年

12月

22日

2014年12月22日テロップ記事

1222日  今、少しだけ気がかりなことがあります。 右手の中指のちょうど指紋の渦の中心付近に、どうやら小さなガラスが迷入しているようなのです。 ボクは職場で顕微鏡を使うことがあります。 プレパラートと呼ばれる小さな四角いガラスの板に試料を載せてそれを顕微鏡で観察するのです。 1ヶ月ほど前、いつものようにプレパラートの縁を右手の親指と中指で挟むようにして持ち、顕微鏡にセットしようとしたとき軽い痛みを感じたのを覚えています。 後からみると小さなかさぶたができていました。 その後かさぶたは自然と剥がれ落ち、痛みや出血を自覚することもありませんでした。 (つづく) 

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