イクラの醤油漬
函館市内のスーパーでは、秋になると一斉に生イクラが並びます。高価な食材ではありますが、安いときには100g 260円ほどで購入できます。出来上がったイクラ醤油漬を買うと、生イクラの倍以上の高値がついていますが、手作りすると、十分低価格で大量のイクラ醤油漬けを楽しむことができます。
寿司屋のイクラよりも、もしかしたら美味しく作ることが出来る、簡単レシピをご紹介します。
このまま食べてしまいたくなるほど美しい色合いのイクラ。
これをまずまな板にのせます。まな板の一方は、流し台へ少しはみ出すくらいの位置におき、他方は、下に箸を一本敷き、まな板に軽い傾斜をつけておきます。のちほどお湯をかけた時、お湯が流しに向かって流れるようにする工夫です。
よく目にするレシピでは、ぬるま湯をかけるように説明されていますが、ぬるいと表面の薄皮がところどころうまくはがれず、卵をばらすときに、薄皮の小片がばらした卵の間に残り、取り除くのに一苦労してしまいます。
そこで、沸騰直前、小さな泡がぽつぽつと見られる程度まで湯を沸かし、それを全体に振り掛けます。皮やイクラの表面がうっすらと白く変色しますが、出来上がりには全く影響しません。
かけたお湯は、まな板の傾斜に沿って、流し台へと流れてゆきます。
お湯は、遠慮することなく十分にふりかけます。
写真のように、表面がうっすらと白く変色し、身全体が、縮んだ薄皮により反り返ってきます。
裏面にも十分にお湯をかけて、この段階は終了です。
持ち上げた途端、表面に近い卵は、ぽろぽろとこぼれ落ちてきます。
下に、ボールを置き、その上に焼き肉用の網をのせ、湯をかけたイクラをのせます。のせた途端イクラが一粒一粒分離して、ぽろぽろ落ち始めます。さらに指の平を全体に押し付けて、ぐりぐりと網の上で大きな”の”の字を描くように網にこすりつけます。
卵ひとつひとつは、思った以上に丈夫なので、強めに押し付けてもつぶれる心配はありません。
ただ、イメージとしては、押し付けるのではなく、こすり付けるという感じ。
たちまち、薄皮のみを残し、卵ひとつひとつがきれいに分離されます。
薄皮の小片がわずかですが混入してますので、この段階で取り除きます。
味には影響しませんが、出来上がりの美しさにかかわるので、可能な範囲で取り除いておいた方がよいと思います。
ここで秘密兵器の登場です。
一般のイクラ醤油漬けは、醤油の他に塩や酒などを、繊細な配分で混ぜ合わせてゆきます。これが毎回、味の違いを生じさせたり、しょっぱすぎたり、臭みが残ったりと様々な問題が勃発する原因となります。繰り返しているうちに、作るのが面倒くさくなってしまします。
これらの問題点を一挙に解決してくれるのが、この一本。”キッコーマンのだしわりしょゆ”です。使用するのは、これ一本。他に塩もお酒もダシも何も使いません。
さっそく、この秘密兵器を投入します。
イクラがひたひたにつかるより、やや多めに用います。
”だしわりしょうゆ”は、一般の醤油よりは値段が高いのですが、一回に必要な量は意外と少ないので、一本用意しておくだけで、サケ4腹程度(8本)は、十分に漬けられます。
ちなみに、このだしわりしょうゆ、刺身を食べるときに用いるのもおすすめです。ふんわかとダシが効いて、通常の醤油よりもしょっぱくないので、素材の味を存分に楽しむことができます。
あとは、ラップをして冷蔵庫で寝かせます。浸透圧の力で、次第に醤油がイクラの中へと取り込まれてゆき、イクラがプリッと張りを持ってきます。さらに卵内容と醤油がうまいことからまり、極上の味わいへと変わってゆきます。
1日経ったら、様子をうかがいます。醤油が卵の中に吸収され、醤油の量が減ってきます。表面近くのイクラが干からびる位まで減っている場合は、さらに醤油を加えます。この先は、吸収速度も鈍化してきているので、ほぼひたひたとなる程度に加えれば十分です。
更にもう1日寝かせると完成です。
冷蔵で、およそ1週間保存可能です。
もしも、長期保管したい場合は、2日間寝かせた時点ですぐに冷凍しておけば、いつでも常温解凍で美味しくいただくことができます。ただし、解凍したものは、作り立てのような粒の張りはありませんので、食感はやや落ちてしまいます。できれば、冷凍はせずにそのまま賞味したいものです。
”今夜も晩酌”にて、料理のトッピングに利用したり、イクラ軍艦や親子丼にしていただいてます。そのまま食べても絶品ですので、ぜひお試しください。